福岡エリアマーケティング

春吉3丁目のエリアマーケティング

天神とキャナルシティの間の春吉3丁目エリアについてご紹介します。

【春吉の基本情報】

春吉全体図
南北は博多から薬院を結ぶ住吉通り(城南線)から国体道路まで直線距離で約800m、東西は那珂川から春吉と渡辺通の間をはしる春吉公園通りまで約300mのエリアで、南から1丁目、2丁目、3丁目となり、1丁目は柳橋連合市場と春吉小学校があり、2丁目は単身者向けのマンションが大半を占め、3丁目はホテルと飲食店が立ち並ぶエリアになります。

【春吉3丁目ってどんなところ?】

西中洲から国体道路を挟んで南側に位置し、単身者向けのマンションやホテルと飲食店が非常に多いエリアです。
九州最大の歓楽街の中洲が近いことから、このエリアに展開する店舗はその影響を少なからず受けており、また、オフィスエリアからも距離があるためランチ需要が弱く、国体道路沿いの店舗を除き全体的に夜営業するアルコール提供の飲食店が多く業態のバリエーションもかなり広めです。
また西中洲に比べると比較的リーズナブルで庶民的なお店が多いのも春吉エリアの魅力となっています。
味自慢の専門店の数々、那珂川を望む景観をウリとしたBARなど、他の地域にはない独特な店舗が所狭しと並んでおり「春吉だけでハシゴする」という方もいるほどです。
夜中心の営業を考えている方におすすめできるエリアです。


下の地図では春吉3丁目の歩行者数の分布を色で表わしてみました。
(赤>濃ピンク>薄ピンクで歩行者数を表しています)
春吉3丁目歩行者数

春吉の国体道路沿いは文句なしに人通りが多く、物販店比率が少なく飲食店の数が多い場所です。飲食店比率の高さは国体道路の両脇の西中洲と春吉に飲食店が多いことが影響しています。
国体道路から縦に南に伸びる路地が3本ありますが、この縦の路地はどれも人通りと車の通行量が見込める通りです。
一方通行がほとんどの東西に伸びる路地は人通りが少なくなります。
縦の3本の路地の中では真ん中の「春吉本通り」が最も道幅が広く人通りが多いです。
また、那珂川寄りの「春吉リバーサイド通り」は最近人通りが多く伸びてきている注目の通りで、以前は現在よりラブホテルが多く、風俗店の客引きの方が常駐していて暗く怪しい雰囲気の場所だったのですが、リバーサイドというロケーションを活かした集客力のあるオシャレなホテルや飲食店が多く出店してから路地の雰囲気が一新され通行する人の属性もその数も大きく変わりました。

春吉は今後の発展が特に期待されるエリアのひとつであり、その理由として
1.渡辺通りから桜十字病院脇を通ってキャナルシティへ抜ける大通「渡辺通春吉線」が昨年12月に開通し、薬院方面から博多への新たな交通路として利用されることが予想され、これまで人通りの少なかった春吉南側の人通りが見込めるようになった。
2.平成32年に完了する地下鉄七隈線の博多駅までの延伸により、天神南駅利用者数が増えることが予想でき、さらに博多から行きにくかった春吉・渡辺通・今泉・薬院エリアが旅行客の目が向きやすくなるため天神南駅付近を拠点とする旅行者の増加することも考えられます。
3.春吉橋の改修工事が始まっており、現在の3倍くらいの幅の歩道ができるため、中洲の夜景や那珂川沿いの屋台を撮りたい観光客にうってつけの観光スポットになり国体道路の歩行者数の増加が見込める

ということが挙げられます。

【春吉3丁目の狙い目】

春吉3丁目は夜主体の飲食店業態にとって狙える場所が多い地域です。今後ますますの発展にも期待ができるため、今のところ候補に入れていない方も是非これを機会に出店を検討していただきたいエリアです。

まず、必ず注視していただきたいのは国体道路沿いの物件です。
募集物件が出る頻度は非常に少ない場所で物件が出たときに売れてしまうまでのスピードも非常に速いのですが、頻度は少なくとも物件をご案内できる機会はあります。
そのため弊社からのご案内の際に国体道路沿いの物件があった場合には、是非早めのご検討をおすすめします。
また、人通りが非常に多いため視認性を確保できれば路面店だけでなく空中階も検討できる場所です。空中階になれば路面1階よりも安い賃料で入居できますしから状況になっては路面店よりもよい条件になる場合があります。
路面店のみに絞って探されている方は非常に多いのですが、場所によっては空中階を視野に入れるとよりよい物件選びができますので是非検討の範囲を広げてみてください。
基本的に人通りが非常に多い場所(当エリアマーケティングの歩行者マップの赤色で表示している路地)は空中階を検討してもよい場所となります。参考にされてご検討ください。

国体道路から縦方向に南に伸びる3本の路地沿いはどれも検討できる立地ですが、その中でもリバーサイドは特に狙い目になってくると思います。
リバーサイドは春吉3丁目の中でもロケーションの良さから比較的客単価の高いお店が多い場所ですし、中州に距離的に近いというメリットがあります。
また、川沿いに料金が安い大型のコインパーキングがあり、「渡辺通春吉線」の開通も奏功して車での来店を狙うこともできる場所になっています。

また、これは集客に関係することではないのですが、地域内に業務用スーパーのフクショクがあるので、食材の買い出しが便利というちょっと嬉しい利点もあるエリアです。


ここで、皆様の参考になりそうな春吉3丁目地区で人気のお店をご紹介します。
・きはる
・いその商店
・焼肉すどう
・柳町一刻堂
・鯉とりまぁしゃん
・葡萄房
・鮓 枉駕
・じぱんぐ
・ひつじ家。
・ちゃんこ上潮
・HiBiKi
・焼肉慶州春吉店
・水魚
・酒肆 野一色
・女とみそ汁
・高玉 本店
・華蓮 博多店
・やまちょう
・金蔦
・田無羅
・うわのそら
・takaseas kitchen 添
・鳳凛


この中からいくつかお店を紹介いたします。
『きはる』
食べログ↓
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40004429/
福岡市中央区春吉3丁目21-28-2F

昼夜人が行きかう春吉交差点のローソンの隣の雑居ビル2階にある居酒屋「きはる」。
地図上で見ると一見いい場所にありますが、通りからは看板だけしか見えない雑居ビルのため他のお店の華やかな看板に目を奪われて、気づきにくい印象があります。
お店の中はカウンターと小上がり席のザ・居酒屋という内装で、ここまでの感じで言うとお店の印象は中の中、2階ということも加味するともしかしたら中の下くらいのインパクトしかないでしょう。
しかし、食べログの「福岡 居酒屋」という福岡県内の居酒屋にカテゴライズされるお店のランキングで堂々の2位(2017年1月時点)になり、今や来店者の半数が県外から来た方というほどの有名店になったのは、九州・福岡といえば、の「生の鯖」を売りとしたお店であるということ。
そして、その鯖も契約漁師が長崎県の五島列島周辺で釣り上げたものを生きたまま仕入れ、開店前に締めてその日のうちに提供しており、他のお店よりも段違いで鮮度がいいことが挙げられます。
さらに契約漁師から直接仕入れているため料理の値段が周辺にあるお店よりも2割くらい低く、国体道路近くで行きやすい・新鮮・安いの3拍子そろっており、県外からのお客様が多いのもうなずけます。
狙い目でもご紹介した通り、国体道路沿いもしくはこの「きはる」のように少し通りに入った非常にわかりやすい立地であっても築年数が古いビルの2階となると賃料もかなりお手頃になり、仕入れ方法を工夫することにより値段を安くしても経営しやすくなります。
また、県外の方をターゲットとする場合や県外の方にウケる業態の場合、地元の知り合いがいない限りほとんどがインターネットで調べて予約して来店するため、通りからの視認性よりも大通りに近いか、わかりやすい立地の上層階の方が選ばれやすい傾向があります。


『金蔦(きんつた)』
食べログ↓
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40006459/
福岡市中央区春吉3丁目16-5

こちらは博多の鍋「水炊き」・「もつ鍋」に次ぐ“第三の鍋”とも呼ばれる「炊き肉鍋」を生み出したお店で、東京六本木と銀座に店舗を構える人気店です。
お店は春吉本通りにある春吉交番を通り過ぎた十字路を那珂川側に向かってはいった春吉3丁目の南端の通りにあるレンガ作りの煙突が目印の一軒家で、外観からは雑多なイメージが多い「鍋屋さん」の面影はなく、フレンチやイタリアンもしくは可愛らしい雑貨とスイーツが出てきそうなカフェといったところ。
中に入ってさらにびっくり、本物の暖炉がありゆったりと座れるソファや椅子が並んだカフェスペースのようなウェイティングスペースがあり、ウェルカムドリンクを振舞われるのですがここでお酒を飲んで帰ったとしても満足できそうな贅沢な空間。
ウェルカムドリンクを飲み終わると奥のテーブルに通されるのですが、ここにきても尚、「鍋屋さん」の雰囲気は皆無。
大きな梁がある天井と白い壁、味がある木目の床、そして真四角の4人掛けテーブルにはテーブルクロス、テーブルの上には可愛いお花と蠟燭が飾られ、綺麗に折られたナプキンが並べられています。
コースで出される前菜はフレンチやイタリアンでなされるような盛りつけで、鍋が出てくるまで鍋屋さんであることが信じられないと思います。

メインの「炊き肉鍋」は特許を取得している円形の金属製で中心15cmほどがくぼみになっており、そこに2日間かけて仕込んだ旨味が凝縮された牛テールスープが入っており、その周りをぐるっと囲むように細切りの野菜の上にお肉が盛られており、周りのお肉と野菜を一緒に牛テールスープに落としてしゃぶしゃぶしていただくスタイルです。
使用しているお肉はかごしま黒豚や伊万里牛などの九州産の上質素材をふんだんに用い、〆はモチモチ食感の杵打ち麺か牛テールスープのリゾットが選べ、いろいろな意味で和洋折衷を楽しめるラインナップとなっています。
特別な日や接待で利用しても満足していただける内容でコースが4000~6000円代とお店の雰囲気や満足度からするとかなりリーズナブルな印象で、一度訪れるとリピートしたいと思う方が多いようです。
若い世代でも利用しやすい価格帯なこともあり、インスタグラムでも1000件近くの投稿がされており、お店の雰囲気自体が写真映えするのと一般的なしゃぶしゃぶではなく馴染みのない鍋の形で “そのお肉は何だろう”“どうやっていただくものなのか”と興味をそそりやすく、雑誌やTVでも取り上げやすくなっていると言えます。
おそらく同じ内容だったとしても、一般的な鍋屋さんの雰囲気でよく見るしゃぶしゃぶの形態で提供していたら、東京の高級料理店が多い六本木や銀座に出店するまでには至らなかったかもしれません。
“鍋がメインのお店だから”、“しゃぶしゃぶだから”という固定概念をいい意味で崩し、内装や接客の面を含め、どうやったらお客様が満足するかを考えたからこそ、ここまで有名になったのかもしれません。
是非差別化の参考にされてみてください。


【最後に…】


いかがでしたでしょうか。
数年前から古い建物が壊され綺麗でオシャレなテナントビルや新しいホテル、単身者向けのマンションが次々と作られて、新しい大通りができ、昔のイメージとはだいぶ変った春吉についてご紹介してまいりましたが、福岡の発展に伴ってこれからもどんどんと変化していくと思われます。
これまでも現在の状態だけでなく今後どうなっていくのか、行政はどのように動いているのかをお伝えしてきましたが、春吉はその影響を強く受ける地域のひとつであることは間違いありません。
大通りが一本増えるだけでその分目立つ路面のビルが増えるということ、開通してまだ間もないため交通量はそこまで目を張るものはないかもしれませんが、博多駅という県外と福岡を結ぶ交通拠点とオフィスが多い薬院のタクシー移動のルートが一つ増えると考えると渡辺通春吉線の開通はかなり大きな変化であり、今までは博多-薬院間をタクシー移動するときは混雑が多い通りを行くか、小道をうまくつかって行くかだったのですが、小道は道をよく知っている運転手に出会えた時はいいのですが、毎回そうとは限りませんし、福岡の車移動で厄介なのが博多-天神・薬院間のバスの交通量の多さが交通渋滞の原因のひとつでした。
国体道路・明治通り・城南線などの大通りでは通勤通学ラッシュで外側1車線はほぼバスしか通らないということも珍しくなく、今のところバスが通らない渡辺通春吉線は博多からキャナルシティまで来てしまえば、信号も少なくなり、薬院までの距離がぐっと狭まります。
そして薬院までの距離が狭まるということは、その先の行政施設が移転する六本松までも近くなったと言えます。
物件を選ぶ際、検討している物件のごくわずかな範囲については見えるかもしれませんが、範囲を広げて俯瞰してみると、春吉に一本大通りが増えたということの可能性がもっと広がって見えてきませんか?
現状で考えるとイマイチに感じたり、賃料が高めに見えたりする物件でも将来性を加味すると実はいい物件になる可能性があります。
見落としている情報や狭まってしまっている視野を広げるお手伝いができるように今後も当メルマガでいろいろな情報を配信していきたいと思います。