福岡エリアマーケティング

上川端町のエリアマーケティング

福岡・天神博多の観光名所である上川端町エリアについてご紹介します。

【上川端町の基本情報】

上川端町全体図
南北は国体道路から明治通りまで直線距離で約500m、東西は土井通り/博多通りから那珂川まで約250mのエリアで天神と博多のちょうど間にあります。
上川端町北側に位置する地下鉄中洲川端駅は1日の乗降客数約16,000人で、乗降客数はここ数年で約1.5倍と急速に伸びており川端地区の経済的な伸びを象徴しています。
中洲川端駅は福岡空港・博多駅がある地下鉄空港線と県庁・九州大学病院や日本三大八幡宮の筥崎宮がある地下鉄箱崎線の連結駅で、箱崎線の終点の貝塚駅は西鉄貝塚線で近年開発が進む千早にもつながっています。
上川端町南側には地下鉄七隈線の博多駅延伸路線の中間駅が平成32年に開業予定で、地下鉄駅に囲まれた上川端町はアクセスの向上による更なる発展が期待されています。


【上川端町ってどんなところ?】


上川端町の西端を占める川端商店街は観光名所で、南側にはキャナルシティ、北側には博多リバレインや博多座もあるため、年間を通して多くの観光客が回遊しています。
博多の伝統的な祭である博多祇園山笠の本拠地で上川端町南東側に位置する博多の総鎮守の櫛田神社は年間を通して飾り山を見ることができるため、県外からでなく海外の観光客も数多く訪れる観光スポットです。
山笠のフィナーレにあたる毎年7月15日の追い山と呼ばれるよくTVでよく観る行事では櫛田神社近くで出発し、“櫛田入り”と言われるひとつの見せ場があり、それから博多の町を回るため、早朝にもかかわらず約100万人が上川端町周辺を訪れます。
このように上川端町は博多の文化を感じられる貴重な観光資源を有する数少ないエリアといえます。
北側の明治通り沿いはビジネスビルが多く存在し、大小様々な企業が多く入居しています。
地下鉄の駅があり、オフィスも多く、観光客が多いことから、隣町の中洲と違い一日中人の往来が多いのが特徴です。

下の地図では上川端町の歩行者数の分布を色で表わしてみました。
(赤>濃ピンク>薄ピンクで歩行者数を表しています)
上川端町歩行者数
(黄色で囲んでいるところが川端商店街)
明治通り、川端商店街、国体道路が人通りのメインとなります。
上記の3つの通りの中では中洲川端駅の川端商店街出口が最も多く、駅から離れるほど人通りが少なくなります。
川端商店街内は明治通りと国体道路を繋ぐ連絡道路の側面もあり、観光客、買い物客、ビジネスマンなどの姿が多く見受けられます。
国体道路沿いはキャナルシティ博多に近い場所に多くの人通りが確認できますが、焼肉の大東園の方面に行くほどマンションが増えるため、観光客の人通りが減少します。
川端商店街以外の区域はそこまでの人通りが見込める訳ではありませんが、昼時と夕方以降はビジネスマンが食事の場所を求めて歩いており、明治通り周辺に勤めるビジネスマンをターゲットとできる場所となっています。


【上川端町の狙い目】

明治通り沿いや中洲川端駅に近い立地は物件が出にくい上に賃料相場が非常に高く通常の飲食店では経営が難しいことと飲食店が入居できそうなテナントが少ないため、現実的に物件が出て入居を検討できるのは、川端商店街と冷泉公園や櫛田神社周辺、加えて国体道路沿いです。

川端商店街は最近では昔ながらの衣料品や雑貨などの物販店が閉店し、有名飲食店ができたり、1階にオシャレなカフェバーを設け、上の階で簡易個室やドミトリールーム(2段ベッドがいくつもある部屋で複数名シェアするところ)があるホステルができたり、と地元の人が買い物するところから福岡の食に期待する観光客のニーズを満たす方向へと変化しているようです。
上川端町内には全国ネットで取り上げられる有名店がいくつかあり、川端商店街内の飲食店数も増えており、今後は上川端町が中洲川端の台所になっていくと考えられます。
川端商店街の注意すべき点は、商店街組合費がかかる点で、間口7m、100㎡の物件で40000円ほど毎月かかります。

古い建物が多いため、冷泉公園、櫛田神社付近は路面店でも比較的安めの家賃で出ることがあります。
昼から夜まで飲食店需要が見込める場所ですから、ランチ営業を組み込んだ営業スタイルでないと少し勿体無いかもしれません。
付近には日曜の夜でも満席という店もあるため、中洲川端駅や博多座付近の観光客とビジネスマンを引っ張ることができれば非常に戦いやすい場所だと思います。

国体道路沿いは、前述の通りキャナルシティ博多近くの場所から離れるとかなり人通りが少なくなります。
このため川端商店街の南側区域(櫛田神社裏口付近)が狙い目となります。
この付近は中洲との距離が近く深夜営業が可能で、地下鉄の中間駅も開通予定ですから将来性も高いです。
このエリアにはキャナルシティへ向かう歩道橋があり、川端商店街の人の往来の恩恵を受けられるのに商店街組合には属さないため組合費がかからないという利点もあります。
店舗面積の小さいテナントが多く、立ち飲みや居酒屋業態の方にもおすすめの場所です。



ここで、皆様の参考になりそうな上川端町で人気のお店をご紹介します。
・せいもん払い
・川端ぜんざい広場
・水たき いろは 本店
・大東園 本店
・鈴懸 本店
・かろのうろん
・ケンゾーカフェ
・兼平鮮魚店 中洲2号店
・川端どさんこ
・バークレー
・中洲鷹勝
・旭軒 川端店
・花のれん
・中洲ぜんざい
・天勺 川端店
・長浜ラーメン 風び
・リルベーグル
・金蛸ダイニング
・めんちゃんラーメン
・伽哩本舗 博多本店
・元祖ラーメン長浜家
・牛車
・櫛田茶屋

この中からいくつかご紹介します。

『バークレー』
食べログ↓
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400102/40001017/
福岡市博多区上川端町11-8
こちらのお店は中洲川端駅から川端商店街に入ってすぐの「お仏壇のはせがわ」向かいにあるビルの奥にある喫茶店で、川端商店街で40年以上営業されている昔ながらのお店です。
一番人気は「ハンカレー」ことハンバーグカレーで、丸く盛られたご飯に肉厚でしっかりめのハンバーグをのせ、その上にルーをかけた王道のハンバーグカレーです。
王道カレーなだけあって、食べログや他の口コミサイトでも“意外と普通”や“シンプル”という評価がありますが、ルーは青森産のニンニクや淡路島産の玉ねぎを使用し、じっくりと具材がトロトロになるまで煮込んだフォンドボーに絶妙なスパイス使いで、懐かしいけれど、どこかいい意味で違う美味しさを感じるカレーに仕上げています。
昭和レトロな雰囲気の店内と相まってホッとでき、決してオシャレで話題性に富んだお店ではないけれども、ファンになる人が多いようです。
また、商人の町と言われた博多の中でも特に忙しい商店街の中にあるだけあって、料理を提供するスピードが他店に比べて早いことが好評で、上川端町のオフィス街のサラリーマンから熱い支持を受けています。
オフィス街では料理の提供スピードを工夫することで、定番の料理であっても好感度をあげることができ、再来店につながりやすくなります。

『鈴懸 本店』
HP↓
http://www.suzukake.co.jp/
福岡市博多区上川端町12-20ふくぎん博多ビル1F

続いてご紹介するのは大正12年創業の福岡を代表する老舗和菓子店の本店です。
老舗和菓子店の本店というと古びた和風の建物をイメージしますが、こちらは中洲川端駅をでてすぐのガラス張りのカッコいいビルの1階にあり、五色ののれん意外目印にできるものはなく、“この辺りにある”とわかっていても、ついつい先入観でスルーしてしまいそうになる外観です。
福岡の百貨店でも人気が高く、東京や名古屋にも店舗があるのでご存知の方も多いと思いますが、本店では物販スペースと喫茶スペースがあります。
喫茶スペースではスイーツだけでなく食事メニューもあり、和菓子店の枠にとらわれずハンバーグやカレー、ナポリタンなどの定番カフェメニューも提供されているから驚きです。
老舗和菓子店のカフェというのはいくつかありますが、“和菓子”“和”というイメージに囚われて和食ばかりを出しているお店がほとんどで、柔軟に様々なニーズに応えている鈴懸は珍しいと言えます。
鈴懸の明治通りの向かいに博多リバレインと博多座がありますが、博多座のメインの来館者である主婦層がランチで使うようなお店が少なく、博多リバレインの中にカフェは数店舗入っているのですが、ほとんどが地下にありお店の雰囲気が少し暗めのため、鈴懸本店のようにオシャレで明るいカフェというのが、重宝されるのも納得ができます。


【最後に…】

いかがでしたでしょうか。観光地が少ない天神博多エリアの貴重な観光名所の上川端町についてご紹介してまいりましたが、古き良き博多の文化や伝統が残っている一方、観光名所として観光客のニーズに沿った店舗が増えてきた川端商店街は、地下鉄七隈線の中間駅の開業やキャナルシティ近辺の開発によってさらに変化していくと考えられます。
また、中国・韓国からの海の玄関口であるベイサイドプレイス(博多ふ頭)や国際会議場・マリンメッセなどのウォーターフロント地区の開発も徐々に話が進んでおり、利便性がよくなることで観光客の増加が期待され、さびれた印象が強かった昭和通りから北側のエリアも新築のマンションが何棟も建てられ、数年前とは様変わりしています。
現在工事中の福岡空港のリニューアル工事も2019年には完成予定で、同年にはその福岡空港にほど近い博多の森球技場で近年人気を伸ばしているラグビーのワールドカップが、2021年には福岡で2度目となる水泳世界選手権大会が開催されることになっています。
今年2017年から2021年の5年間で福岡の街は一回りも二回りも大きくなっていることは大袈裟な表現ではなく現実として考えられることです。
福岡市の人口増加については以前からお話ししていますが、安くて美味しいがあたりまえの福岡県民よりも、とにかく美味しいものが食べたいという欲求が強く財布の紐が緩まりがちな観光客が増加するということの方が、飲食業界には大きな影響となるのではないでしょうか。

物件をお探しの際、人通りなどは現状を見て判断されていることとは思いますが、博多・中洲付近のエリアについてはもっと長い目で、天神エリアとはまた違った視点が必要になってきます。
ずっと先のことのように感じていた東京オリンピックがあと3年半に迫ってきました。
日々ニュースではその進行状況が報道されており、だんだんと現実味を帯びてきてます。
しかしその盛り上がりに負けないくらい福岡もまだまだ盛り上がっていくと感じています。
その波が来た時には、今以上に新規出店というのが厳しくなることも考えられます。
どの層をターゲットとして、どういう料理を提供して、どのように事業展開していくかで、出店エリアや立地などは大きく変わってしまいますし、もしかしたら今思い描いているお店のイメージに足りない部分や違う条件の方がイメージに合う場合も数多くあります。
具体的に話が決まっていなくても、漠然としたイメージを話していくことでイメージと現実の差がわかり、どんどんと具体的になっていくものです。
きちんと決まってから、と言わず我々に気軽にご相談ください。