福岡エリアマーケティング

西中洲エリアマーケティング

博多天神地区屈指の高級飲食店がひしめく西中洲についてご紹介します。

【西中洲の基本情報】

西中洲
南北は国体道路から水上公園まで直線距離で約500m、東西は天神と西中洲をつなぐ三光橋から西中洲と中洲をつなぐ春吉橋まで約300mのエリアで、典型的な三角州でできた地域で天神から西中洲へは明治通り、アクロス福岡から渡る橋、国体道路の三光橋、中洲から西中洲へは明治通り、福博であい橋、春吉橋の国体道路以外橋でつながれているため、ほぼ川に面しており特に中洲側は那珂川と中洲の夜景が見えロケーションがよく、ビルの建て替えが行われ西中洲の中でも賃料が高くなっていっているエリアです。

上の地図で黄色く塗られているところが、天神2丁目でお伝えしていた「天神ビックバン」の一環で2016年7月にリニューアルした水上公園・福岡SHIP’S GARDENで、今は“世界一の朝食”と絶賛されている「bills」と須崎町で人気の「星期菜」の姉妹店「星期菜NOODLE&CHINOIS」が入っており、福岡の中でも注目のスポットです。

【西中洲ってどんなところ?】

地図を見てもわかる通り、明治通り・国体道路と西中洲を南北にはしる西中洲大通り以外は一方通行でもギリギリの細い路地があり、車が通るのは至難の業でほとんどが歩いて移動する特殊な地域です。
天神からも博多からも行きやすく、名前の通り九州最大の歓楽街である中洲の西側にあるため、ナイトクラブに行く前の同伴客や接待として利用されやすいエリアで高単価が取れる客層を集客しやすいことから、高級な和食店や寿司屋、焼肉店が圧倒的に多くなっています。

昔ながらのビルと最新のモダンなビルが入り乱れ、通りからの視認性がいいお店自体珍しい、客に媚びないような店構えが多い「西中洲」には中洲とはまた別の独立した、高級な飲食店のイメージを想起させるほどのブランド力があります。
このブランド力の高さから坪単価は高水準にあり、路面店の平均坪あたり月額賃料は2万円程度となっています。

西中洲のブランド力の源泉として挙げられる理由は、最高レベルの名店わかりやすいところでいうと食べログで3.5以上を取っているお店がこの狭いエリアの中で50店舗以上ある間違いなく「美食の街」ということに尽きます。
このため他店との競争は激しいものになりますし、来店するお客の要求するレベルも高いものになりますから、繁盛店を造ることが簡単な場所ではありません。

高レベルのおもてなしと品質の高い料理があって、初めて西中洲での営業のスタートラインに立てるくらいに考えていただくのが良いと思います。

下の地図では西中洲の歩行者数の分布を色で表わしてみました。
(赤>濃ピンク>薄ピンクで歩行者数を表しています)
西中洲歩行者数

明治通り、国体道路は天神と中洲をつなぐ通りで多様な人が通行しているため歩行者数は最高レベルに多いです。
明治通りと国体道路の優劣をつけるとするなら、現在は若干ながら国体道路の方が歩行者数は多くなっています。
西中洲北側は大同生命福岡ビルなどのオフィスビルや旧福岡県公会堂貴賓館の土地大半を占めているため飲食店が多いのも国体道路側です。

西中洲で特に人通りが多いのは南北縦方向に伸びる西中洲大通りですが、西中洲は基本的にどこかのお店へ向かっている人が歩いていて、中央公園から福博であい橋・中洲へ続く導線を除き、移動中の通り道として使う歩行者はそこまで多くありません。
国体道路の春吉交差点から春吉橋西の交差点まで約100m超ほどの結構な長さがありますが、この間に西中洲の中へ入る道がなく、この閉鎖感が西中洲の独特な雰囲気を産んでいます。
さらにお店に人はいるのですが通行人が少なく、通りは薄暗いため土地勘がない方にとってはある種の“恐怖”を感じやすくなっており、西中洲の「大人の街」というブランドを守るため派手な看板や立て看板の設置が厳しいところが多く、集客に関しては他のエリアと違った手法が必要になってきます。
また大通り沿いを除き集客の大部分が夜利用で、深夜まで営業するお店も多く、ランチやカフェ営業をするメリットがほとんどないため、夜メインで経営を考える必要があります。

西中洲の賃料価格帯は通りの人通りに応じて急激に変動することはなく、概ね一定の価格に収まっています。むしろ建物の新しさや雰囲気の方が賃料に影響しやすいという特徴があります。


【西中洲の狙い目】

まずオススメできるのは国体道路沿いです。
国体道路沿いは夜も昼もにぎわい観光客も多い、理想的な立地だといえます。昼夜やっているラーメン店やチェーン店も多いですし、ランチ業種もいける立地です。
その分、坪あたり月額家賃は非常に高い傾向にあるため、客単価もしくは回転率が高い業種でないと維持は難しいと思います。
国体道路沿いは2階以上になると賃料が安くなる傾向があるので、そういった場所を狙うのもアリと思います。

西中洲は通行量や通りの大きさ、周辺の競合店の存在を考えると同じ飲食店街の大名鳥もはるかに入れ替わりの激しいエリアですから、高品質のサービスはもちろん他店との差別化ができるか否かがお店の成功に大きく影響します。
路面店でも通りから中の様子が見える作りのお店は珍しいため、西中洲に限って言えば、通りからの視認性や路面であることにこだわるよりも、できるだけ坪あたり月額賃料が安く、想定の広さに近い物件を選ばれるのが良いと思います。
また、他の地域に比べてお客様が定着するまでに時間がかかりますので充分な運転資金を用意することが必要です。



ここで、皆様の参考になりそうな西中洲の人気のお店をご紹介します。
・河庄
・しらに田
・藤よし
・安兵衛
・元祖めんたい重
・力飯店
・博多ほたる
・三原豆腐店
・博多和田門
・しん進
・鉄なべ 中洲本店
・好信楽
・花びし
・松介
・キッチンアンドチキン ペプチード

『三原豆腐店』
HP↓
http://www.miharatofu.jp/
Facebook↓
https://www.facebook.com/SanYuanDouFuDian/
福岡市中央区西中洲3-19

福博であい橋から旧福岡県公会堂貴賓館を南側から出て西中洲の川沿いに建つビル群に沿ってワンブロック進んだ角にグレーと白で塗られた一軒家がこの『三原豆腐店』です。
こちらのお店は名前の通り、豆腐メインの居酒屋さんなのですが、オーナーのご実家の佐賀の三原食品から毎日新鮮な豆腐をもってきており、一番人気の「まぼろしの厚揚げ」をはじめ、生湯葉の春巻きや豆乳うどんなどのメニューが並んでおり、ヘルシー志向の女性に人気です。
まぼろしの厚揚げは普段スーパーで売っているものとはかけ離れたもので外はサクッと中はふわっとし濃厚なお豆腐の味が楽しめ、厚揚げのイメージを覆すと感動する人が多く、ここでしか味わえないとリピートする人が多いようです。
冷奴をゆず胡椒とオリーブオイルでいただく「ゆず胡椒deオリーブオイル奴」、豚肉を温めた豆乳でしゃぶしゃぶする「豆乳豚ネギしゃぶ」など、普段よくみるメニューをアレンジしたものも目立ちます。
しかし豆腐のメニューだけでなく、風味や食感がおもしろいあおさとなんこつのポテトサラダやアグー豚を山わさびと大根おろしでさっぱりいただくなど、豆腐を使っていない変わり種メニューも豊富で、特に面白いのは「豆腐生チョコ」でホリエモンこと堀江貴文さんが開発に携わり2014年のバレンタインで話題を呼んだためご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
普通はチョコレートと生クリームをつかって作る生チョコをチョコレートと豆腐で作り、カロリーや脂質を40%以上カットするという女性には嬉しい一品なのです。
豆腐とチョコレートという組み合わせから想像できないほど、しっかりとした生チョコに仕上がっており、インターネットで通販もしているものの一つ一つ手作りのため、1日数十個ほどしか生産できないうえ、予約が殺到しており手に入れるのは難しくなっています。
福岡の中では客単価が高い西中洲という立地を考えると、普通の居酒屋とさほど変わらないくらいのお値段というのは、かなりリーズナブルで料理の内容もヘルシーで美味しいとなれば、週末の予約は2~3週間前でないと取れないというのも納得できます。


『しん進』
食べログ↓
https://tabelog.com/fukuoka/A4001/A400103/40011666/
福岡市中央区西中洲5-15セントラルパークタワー2F

西中洲大通りの元祖めんたい重のお店から一本東の通りに行った駐車場の裏のセントラルパークタワービルという西中洲の有名店「博多和田門」の上の階と西中洲の中では比較的わかりやすい立地なのですが、通り側には看板がなく和田門の隣の階段にある灯篭に「しん進」の文字があり、2階に上がったとことでようやく看板があるという隠れ家的な和食店です。
こちらは割烹の部類にいれられることもありますが、提供される料理や盛り付ける器は割烹で出されても、文句のない逸品ばかりですが、大将やお店の雰囲気がアットホームなためどちらかというと高級居酒屋の認識でいる方が多いようです。
旬の魚介を取り寄せ、和食という枠にとらわれず、豪華な和柄の刺し盛や松茸の土瓶蒸しから有機野菜をテリーヌにしてみたり、ヤングコーンを皮ごと香ばしく焼いたものを自分で剥いていただくメニューがあったり、カリフラワーをポタージュにしたものがあったりと幅広くその素材を美味しくいただくにはどうしたらいいかという試行錯誤されている感じが見受けられます。
名物メニューのひとつに「自家製かまぼこ」があり、一見白いかまぼこに海苔が巻いてあるだけですが、上品な白身魚の風味と隠し味で入れられたわさびマヨネーズと海苔の香りがあいまって、お酒にあう料理に仕上がっています。
また、手のひらくらいの大きい牡蠣を出す時も食べやすいように切ってあったり、土地柄着物で来店される方も多いため、着物が汚れないように手ぬぐいを出したり気遣いが感じられます。
派手さや流行に左右されにくい西中洲では雰囲気いいところで美味しい料理をゆっくりホッと安心する状態でいただけるというのも“行きたいな”と思わせる理由のひとつになりうるのかもしれないなと感じるお店です。


【最後に…】

いかがでしたでしょうか。福岡の中でも指折りの大人の街西中洲についてご紹介してきましたが、他エリアでご紹介してきたことが覆されたと思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今回お伝えした内容は西中洲に限って言えばという前提であることを忘れないでください。
もちろん西中洲で繁盛店になっているお店は正直他のどのエリアに行っても、テナントの賃料に合わせて価格帯を調整すれば通用するとは思います。駅からの単純距離で言うとかなり立地はいいはずなのに雰囲気が独特なため“立地条件のいい、わざわざ行く店”というのが西中洲の根底にはあり、通りにはあまり人がいない+通りからの視認性があまりよくないテナントが多いという、冷静に考えると結構絶望的にも感じる条件を乗り越えて営業されているお店ばかりですから。
また、西中洲はお店のオシャレさや雰囲気だけで価格帯を想像しづらく、古めのお店でぱっと見ただけでは高そうに見えないところが実は高級店だった、という話もちらほら聞きますし、新しいお店に行く場合は下調べと予約が要るという風に思っている人も多いです。
皆様も西中洲のお店に調査に行くことがありましたらお会計の時にビックリすることがないように一応下調べをしていかれることをオススメします。

正直なところ1号店でいきなり西中洲のど真ん中に出店するというのは、なかなか難しいことだとは思います。しかし、席数が少なくお客様の満足度を考える努力を惜しまなければ、口コミで広がっていくこともありますし、西中洲でよく食事をする人は食にお金をかけることに抵抗がないタイプの人が多いため、リピーターになることも十分考えられます。

近くて遠い福岡県民でも通ったことがないという人も少なくない特殊な街・西中洲。考え方を変えてみれば、こだわりを貫き通したい方にはぴったりな街なのかもしれません。

大名と並ぶくらい勉強になるお店がたくさんありますので、是非一度西中洲の面白いお店を調べてみてはいかかでしょうか。